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バンビーナ




 香川の風は海の匂いがした。東京とも、大阪とも違う、潮の香り。公演会場は本当に目の前が海で、広島育ちの俺はそれだけでリラックスできたし、開放的な気分になれた。気のせいかもしれないけれど、舞台の出来もよかったと思う。だから、ほんとはもっとたくさん香川でやりたかった。二日間だけなんて、名残惜しすぎる。

「なーに考えてんのー」

 公演を終え、会場からほど近いホテルに戻って、夜のテラスでぼんやり涼んでいたら、ばーちょんが声をかけてきた。片手にはコカ・コーラの缶を持って、首からタオルを下げて。たぶんシャワーを浴びたあとなんだろう。

「ん…。香川でもっとやりたかったなーって思ってさ。ホールもでかくて気持ちよかったじゃん?」
「そだね。…飲む?」

 ばーちょんが差し出した、冷えて水滴に濡れたコーラの缶を受け取って、ひとくち飲んだ。冷たくて、おいしい。

「福岡だって岐阜だってイイさ。香川はもう終わり! 次に向かってゴーゴー!」
「ははっ、ばーちょんはお気楽でいいな」
「俺は誰かさんみたいに考え込むのは苦手なんでーす」
「誰かって俺?」
「今この状況でほかに誰かいますかぁ?」

 ばーちょんはおおげさに首をぐるっと回してあたりを見るふりをした。そしてふと、なにか思いついた様子で耳打ちをする。ほんとはそれを言うために俺を探していたのかもしれなかった。

「ね、マサ、ちょっと部屋来ない?」
「? …いいけど、なに?」
「いいもんあるんだ。見せたい。てか、一緒に見たいの」
「なんだそりゃ。…いいよ、行こか」


(すみません、続きは「ミュの小部屋」のほうに移動しました。お手数ですが一度トップに戻って入り直してください、申し訳ありません)
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